卵をひとりあて一個茹でて、糸で輪切りにして一人分の小針にならべる。
そこへ、熱くした濃いカレー・ソースをかけるだけなのだが、カレーは「デリー」のがおいしい。【『麻布の卵』(夜中の薔薇/講談社)より引用】
『横着卵』と名付けた向田料理。
ゆで卵にカレーソースをかけるだけというが、満足できるのだろうか。白ご飯は欲しくならないのだろうか。と、中学生の頃の私は心配しながら読んでいた。
成人してから数十年も過ぎた先日、「デリー」のではないが、横着卵を試してみた。
ゆで卵とカレーだけでこんなにも満足できる一品ができるとは思ってもみなかった。いったいどうして今まで試さなかったのだろう。
意外だったのは黄身よりも白身の方がカレーとの相性がよかったこと。ゆで卵は黄身よりも白身の方が味があることを横着卵をきっかけに覚えた。
向田邦子は「デリー」のカレーの中でもインドという味が好みだったと書いている。おそらく『インドカレー』のことではないかと思う。
デリーは創業50年以上の老舗のカレーハウス。
そのレトルトカレーは全国の百貨店やスーパーでも扱っているというので、こんど近所のデパ地下あたりを探してみよう。
ちなみに向田邦子もデパートで「デリー」をみつけたと書いていた。
※この記事は、過去に運営していたブログ「向田邦子「う」」より移行させました。管理人及び筆者は同一人物です。
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