「津々井」のもやしサラダは、カレー味である。ピリッとしておいしいので、私はうちでためしてみたが、水っぽくなってうまく出来ない。何度やっても黄色く仕上がらなかった。
【『コロンブス』(無名仮名人名簿/文藝春秋)より引用】
向田邦子がテレビで見た、見たことのある顔は、近所のレストラン「津々井」のご主人だった。
料理番組で、向田邦子が何度試してもうまく作れなかった『もやしサラダ』の作り方を知り、”言われてみれば何でもないことだが、はじめに考えついた人は、やはりすばらしい。”と書いている。
レストラン「津々井」は1950年創業の老舗の洋食屋で、赤坂に本店がある。向田邦子がよく利用していたのは青山店らしいが、青山店は閉店してしまった。
『もやしサラダ』は、現在もこのお店の定番メニュー。それから、エッセイに”いつもおいしくいただいており”と書いている『照焼丼』は、おそらく『ビフテキ丼』のことではないかと思う。
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