バッタリ

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ぼんやりと歩いていたら、声をかけられた。

「こんにちは。」

確実に会ったことがある。絶対に知っている人だ。というところまではすぐに解った。ただ、そこから先が出てこなかった。

「ほら、私、○○の。」

泳いでいる目に気がついて彼女がヒントをくれた。おかげですぐに思い出すことができた。

「お久しぶりです。以前○○でご一緒しましたよね。あの時××が得意っておっしゃってて、すごいなぁと思ったんです。ねぇ。懐かしい。今日は?お仕事か何かで?」

と話したつもりだった。しかし実際は、

「アーッ!!あっはははは~!あーあーあ~!あはははは!」

完全にペースを崩し、すべてを『あ』と『は』だけで語ろうとしていた。

大阪に越してきてまだ数年。友だち100人できたわけでもなく、歩いていて知り合いにバッタリなんてことはめったに起こらない。それでもたまたま偶然知り合いに出会ったりすると、妙に嬉しくなる。

「あら、こんにちは。」
「はい。さようなら。」

だけの一瞬の出来事でも、なんだ。今日はいい日ではないか。という気分になれる。

そんな数少ないバッタリのうち、この1、2年で3回も偶然に出会った人がいる。これはもう、何かのご縁だ。このご縁は一生…。なんて考え始める私は、案外スピリチュアル派なのかもしれない。

たまに人込みを歩いていて、あぁここで○○さんとバッタリ出会ったらおもしろいだろうな。と思うことがある。向こうは私のことをおぼえてくれているかどうかも判らないが、そういう存在が数人いる。

ただ残念なことに、私は人込みの中から知った顔を見分ける能力をまったく持ち合わせていない。

仮に「あっ!」と思ったとしても、次は『は』しか出てこないのだから、出会わない方がいいような気もする。

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