向田邦子との出会いは中学生の時だった。
国語の教科書に載っていた『字のない葉書』。
エッセイというものを知らなかった当時の私は、この話の続きが知りたくて『眠る盃』を本屋へ買いに行った。そこから、彼女の気取らない文章、巧みな表現にぐいぐいと引き込まれていくことになる。
あれから20年近くの月日が流れ、また、彼女の文章を読んでいる。
中学生の時とはまったく違った印象が新鮮で仕方がない。
お酒やタバコを呑んでいらしたこと。男と女に対する洞察。前線で仕事をしながら女であり続けていること。エッセイから読み取るすべての事から、親しみを感じたり、尊敬したり、自分の生き方を想ったりしている。
できることなら、ぜひとも一度お会いしたかった。
ある日、彼女が「うまい」と書いた老舗のあなご屋をインターネットで検索してみた。
そのお店が現在も営業しているということがわかった。彼女の時間と、私の時間がつながったような気がしてとても嬉しかった。
それなら、向田邦子が「うまい」と書いたものを一度食べてみたい。それをもっと知りたい。そう思うようになりこのブログでリストアップすることにした。
なかなか手に入らないものもあるが、少しずつコレクションとして書き溜めていく。
※この記事は、過去に運営していたブログ「向田邦子「う」」より移行させました。管理人及び筆者は同一人物です。
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