東京オリンピック

当ブログは記事内に広告が含まれます

…東京オリンピック開会式の日であった。
猫を連れて入れるアパートを探して、不動産屋の車で青山あたりを回っていたら、開会式の時刻になった。日本中の人がテレビにかじりついているというのに、父と争い家を飛び出して部屋探しをしている人間もいる。不動産屋の車が青山の表通りから横町へ曲がった。こんなところにマンションがあるのかな、と思ったとたん、ゆきどまりになった横町の真下に、国立競技場がひろがっていた。
「ここが日本一の特等席ですよ」
不動産屋のおにいさんが得意そうに私の顔を見て笑いかけた。
たいまつを掲げた選手が、たしかな足どりで聖火台を駈け上ってゆき、火がともるのを見ていたら、わけのわからない涙が溢れてきた。

向田邦子「眠る盃・伽俚伽」より引用しました。

去年、2020年の東京オリンピックが決まった時、同級生と飲みながら、
「7年後、何にでもなれるとしたらどうなっていたい?」
と散々問い詰めた。

酒が抜けたころ、そういえば私はどうなんだろうと思った。それからしばらく自問自答して、ビーン!と思い出したのが、この向田邦子のエッセイだった。

2020年、6年後のオリンピック開会式の時、聖火台に火がともされるのをどこか遠くから眺めていたい。

観客が一斉に拍手をして、遠くからだと観客席がモコッと盛り上がるように見えたりして、それを眺めながらビールを飲みたい。

わぁ。7年前に妄想してたことが叶ったんだ…

と思ってちょっと泣いたりしてみたい。なんかそう思った。

それにしてもやっぱりビールは外せないのね。アタシ…

コメント